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矢橋コンサルティング通信 2025年10月15日号 <昔々「敵対的」TOBをしかけたことがありました>
いつもお世話になっております。
株式会社矢橋コンサルティング(大垣市)の代表取締役 矢橋 敬です。本メールは、私と名刺交換等をさせていただいた方に時事のトピックのご紹介やコンサルティングの現場からのリポートをすることにより、常日頃からのつながりをお願いしたいと思って配信しております。
■ 昔々「敵対的」TOBをしかけたことがありました
私は弊社を創業する前に、6社の金融関連の会社を転々としながら隣りの分野の職業に乗り移ってきました。
https://yabashi-consulting.co.jp/company/
2005年から2008年の間はダヴィンチ・アドバイザーズという一世を風靡した不動産投資ファンド運営会社にいて、不動産関連の会社への投資を行っていました。
上場会社も非上場会社も投資対象であり、上場会社の場合は特に、保有する不動産の価値を考慮すると割安な株価の会社に投資して、その価値が市場で認識されて株価が上がることを期待する投資手法でしたが、その中に、テーオーシー(東証スタンダード8841)という会社がありました。
当初はそのような期待のもとで投資していたのですが、期せずして2007年5月に「敵対的」TOBをしかけることになり、私はTOB成立前提での経営計画の策定、株価の算定、公開買付届出書やプレスリリースの作成などを担当しました。
事はおおよそ以下の通りに推移しました。
・4月 テーオーシーの経営陣が1株800円でのMBOを開始
・MBO開始後に市場株価が800円を超えて推移してMBOは不成立
・5月 ダヴィンチが1株1,100円で対抗TOBを開始
・対抗TOB開始後、テーオーシー経営陣が反対意見を表明
・一方で市場株価は1,100円を超えて推移
・6月 ダヴィンチが1株1,308円に対抗TOB株価を引き上げ
・7月 成立条件であった45%以上の応募がなく対抗TOBも不成立
・テーオーシーの株価はその後下落
ダヴィンチ側には、
市場株価以上で対抗TOBをすれば、株主は、
TOBに応募して十分なプレミアムがある株価で利益確定するか、応募せずにTOB不成立後の株価変動リスク/リターンを取るかの二者択一であるため、応募する株主が相応にいるであろう。
また、
上場会社の役員にはレブロン義務があり、一度会社を売ると決めたら、その理由がMBOであったとしても、少数株主も含む株主全体の利益を最大化する、つまり、最も高い株価を提示した買手が買うように動くであろう。
という
目論見があり、これはMBOへの対抗TOBをする買手側の一般的なロジックでもあるのですが、どちらも外れたと言えます。
<参考資料>
テーオーシー側開示:
当社株式に対する公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ等
https://ssl4.eir-parts.net/doc/8841/tdnet/486784/00.pdf
https://ssl4.eir-parts.net/doc/8841/tdnet/515242/00.pdf
https://ssl4.eir-parts.net/doc/8841/tdnet/518982/00.pdf
ダヴィンチ側開示:
株式会社テーオーシー株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
http://da-gp.co.jp/dh/wp-content/uploads/2007/05/release116_1.pdf
いずれにしても、このTOBの期間中は嵐のような毎日で、動くお金の大きさ(約600億円)の面では私生涯最大のプロジェクトになりそうです。
ところでこの「敵対的」TOB(買収)という表現は最近あまり使われないようになり、「同意なき」買収と表現されています。
確かに会社の現役員にとっては、事前に話し合いがついていない相手からの買収は、買収後に自分が解任されるリスクがあるため、敵対的かもしれませんが、買手側は法人としての会社そのものを敵視して経営を悪化させようとしているのではなく、むしろ会社の経営を良化させて株価を上げて利益を得るために買収をしかけている訳で、私には違和感がありました。
あれから15年以上経ってやっと中立的な表現になった、という感慨が私にはあります。
<参考資料>
経済産業省:
レブロン義務
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kosei_baishu/pdf/005_03_00.pdf
公正なM&Aの在り方に関する指針 2019 年6月28日
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/pdf/fairmaguidelines.pdf
企業買収における行動指針 2023 年8月31日
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831003/20230831003-a.pdf
東京証券取引所:
MBOや支配株主による完全子会社化に関する上場制度の見直し等に係る
有価証券上場規程等の一部改正について 2025年7月7日
https://www.jpx.co.jp/rules-participants/rules/revise/um3qrc000001o3n5-att/gaiyo.pdf
■弊社で現在進行中のM&A案件
は今のところ、
売却案件は
・自動車修理販売業
・金属研磨業
・紙加工品製造業
・ゴム製品製造業
・精密切削部品加工業
・機能性繊維製品製造業
などのご相談を承っており、
買収案件は
・工業用刃物関連業
・金属加工業
・高齢者介護施設運営業
・建設機械関連業
・各種工事業
・損害保険代理店業
・土木建築関連EC(ネットショップ)業
・弁理士事務所/弁理士法人/特許事務所
・食品製造/卸売/物流業
などのご相談を承っており、新規のご相談もいつでも承っております。
弊社はM&Aのアドバイスを着手金50万円、補助金申請のアドバイスは着手金10万円にて承っております。どうぞお気軽にご相談ください。
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Tel: 090-9131-3454
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